「えっ、“しづらい”って“しずらい”じゃないの?」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
どちらもよく見かける表現ですが、実は国語的には“正解”があります。
この記事では、「しづらい」と「しずらい」の違いや意味、使い分けのポイントを、初心者の方でもわかりやすくやさしい言葉でご紹介します。
ビジネスメールやSNSで、ちょっと迷ったときにすぐ役立つ知識ばかり。
正しい言葉を知ることで、自分の文章にも自信が持てるようになりますよ。
どっちが正解?日本語の「モヤモヤ」をスッキリ!
「これ、しずらいでよね?」「しづらいって書くべき?」
たとえばメールやLINE、SNSの投稿や仕事の書類など、ちょっとした文章を書くときに、この二つの表現にとまどうことってありませんか?書いているうちに「どっちが正しいの?」と手が止まってしまった経験、誰しも一度はあるかもしれません。
また、話すときには「しずらい」と自然に口から出てしまうけれど、いざ文字にすると違和感を覚えたり、変換がうまくいかなかったりと、小さなストレスを感じることも。
この記事では、そんな「しづらい」と「しずらい」の違いや、どちらを使うのが正しいのか、さらに似た意味を持つ表現との使い分けまで、やさしくわかりやすくご紹介していきます。
正しい知識を身につけることで、言葉選びに自信が持てるようになりますよ。
「しづらい」と「しずらい」の違いとは?

「しづらい」の意味と使い方
「しづらい」は、正しい表記とされています。
「する + づらい」の連説で、「なんとなくやりにくい」という心理的な雰囲気を含んだ表現です。
例:
- 言いづらい
- 請しづらい
- 会社に行きづらい
など、気持ちや感じ方が関わる表現に向いています。
「しずらい」は間違いなの?
「しずらい」は、話語の中では良く聴く表現ですが、文章としては正しい表記とはされていません。
日本語入力系の変換でも「しずらい」は変換候補にならず、それだけ不自然な表現として認識されています。
話し言葉では「しずらい」がごく自然に使われる一方で、文法的には「しづらい」が正しいという点について、ここまで説明してきました。では、具体的にどのような場面でこの違いが現れるのでしょうか?たとえば、SNSや友人とのカジュアルな会話では「しずらい」を使っても問題になることは少ないかもしれません。しかし、学校の作文やビジネスシーン、またはメールや報告書などの場面では、「しずらい」は誤字として見なされることが多く、注意が必要です。
「しずらい」という表現が定着しつつあるのは、日本語の発音上、「ず」と「づ」の違いがほとんど感じられないという点も大きな理由の一つです。特に音声中心のコミュニケーションでは、厳密な表記よりも“伝わるかどうか”が優先されがちです。しかし、文字として残る文章では、読む相手の印象や信頼にも影響するため、正確な表現が求められます。
つまり、正しい知識を持って意識的に「しづらい」を使えるようにしておくことが、読み手への敬意や、丁寧な文章作成につながっていくのです。
書き言葉 vs 話言葉
この二つの表現は、「書く」と「話す」という使い方の違いによって、自然さや受け取られ方が大きく変わってくるという点が重要です。
- 書く場合:「しづらい」が正解であり、文法的にも認められた正式な表記です。レポートやビジネスメール、作文、論文などでは「しずらい」を使うと誤字と判断されることがあります。
- 話す場合:「しずらい」はよく使われる口語表現で、自然に耳にすることも多く、特に会話のテンポや発音のしやすさから選ばれている傾向があります。
日本語では「ず」と「づ」の発音の差があいまいになっているため、話し言葉の中では違和感がなくとも、書いたときに「おや?」と思われることがあります。たとえば学校の国語の授業で、「しずらい」と書いて減点されるケースも珍しくありません。
また、SNSやチャットなど、半ば話し言葉の延長のように使われる文体では「しずらい」が使われることもありますが、フォーマルな印象を与えたい場面では「しづらい」を選ぶことで、丁寧で知的な印象を持ってもらえる可能性が高まります。
つまり、一度「書く」という行為に入るのであれば、「しづらい」という正しい形を使うように意識することが、読み手への思いやりや配慮にもつながります。それが結果として、信頼を得たり、誤解を避けたりするための大切なポイントになるのです。
正しく使い分けるコツは?シーン別ガイド
ビジネスでの表現:信頼感がカギ
「しづらい」を使うことで、話し手や書き手の丁寧さ・知的さ・配慮が伝わり、相手に安心感を与えることができます。特にビジネスの場面では、「表現に気を配っている人」として好印象を持たれることも。
たとえば、社外とのメールや社内の報告書で次のようなフレーズがあります。
例:
- 「ご提案しづらい内容ではありますが…」
- 「お伝えしづらいのですが、価格が変更となりました」
- 「申し上げづらいのですが、納期の調整が必要です」
こうした文面では、「しづらい」を使うことでやんわりとした印象を与え、相手に不快感を与えずに大切なことを伝えることができます。
ビジネスでは「正確さ」と「配慮」の両立が求められるため、「しづらい」を選ぶのが無難で安心な選択肢です。
日常会話なら「しずらい」もアリ?
一方で、家族や友達との会話、SNSやチャットなどのカジュアルなやり取りでは、「しずらい」が自然と使われることも少なくありません。発音のしやすさや、言葉の柔らかさが理由で「しずらい」のほうが親しみやすく感じることもあるでしょう。
たとえば…
- 「ちょっと言いずらいんだけどさ〜」
- 「お願いしずらい雰囲気だよね」
といったような砕けた話し方のなかでは、形式的な正しさよりも、気軽さやテンポが重視されるため、口語としての「しずらい」も許容範囲です。
ただし、話している内容をあとで文章にしたり、SNS投稿に使ったりする際には、「しづらい」に修正することで読み手への信頼感を保つことができます。
表記の正確性と読み手への配慮
日本語では、ほんの少しの表現の違いが、受け手に与える印象を大きく変えることがあります。文章においては特に「しづらい」を使うことで、文法に忠実であることが伝わり、読み手への配慮や丁寧な姿勢が感じられます。
受け手が目上の方や取引先、あるいは不特定多数の場合には、「しずらい」ではなく「しづらい」を選ぶのが安心です。
また、「しずらい」が変換されずに違和感を覚えたら、それが“見直しのサイン”。そのタイミングで「しづらい」に直す癖をつけておくと、自然と正しい言葉遣いが身につきます。
相手に伝えるための言葉だからこそ、「誰に向けて、どんな場面で使うか」を意識した使い分けができると素敵ですね。
「しにくい」との違いも知っておこう

「しづらい」と「しにくい」の微妙な差
「しにくい」と「しづらい」は、どちらも「何かをするのが難しい」という意味を持ちますが、実はその難しさの種類に違いがあります。
「しにくい」は、客観的・物理的な障害や技術的な難しさを表すときに使われることが多く、たとえば道具が使いにくい、手が届きにくい、視界が悪くて見にくいといったように、状況や構造によって難しさが生じる場合に使います。
一方、「しづらい」は心理的・感情的な障壁やためらいがあるときに用いられます。相手の気持ちを気にして本音が言えない、断りたいけれど申し訳なくて言い出しにくい、というような、心のブレーキがかかっている状態を指します。
例:
- 靴が脱ぎにくい(物理的な問題)
- 雨の日に歩きにくい(環境要因)
- 本音が言いづらい(感情的な配慮)
- 断りづらい(相手との関係性を考慮して)
このように、「しにくい」は現実的な問題に、「しづらい」は気持ちや雰囲気にフォーカスしているのが特徴です。
ニュアンスの違いで印象が変わる
表現の選び方によって、相手に与える印象も変わります。
「しにくい」という表現は、論理的で客観的な響きを持っており、やや事務的で冷たい印象を与えることもあります。たとえばビジネスの場で「言いにくいことですが…」と言うと、率直で淡々とした印象になることがあります。
それに対して、「しづらい」はやわらかく、人の気持ちに寄り添った表現として使われます。「言いづらいのですが…」と表現すれば、相手に対して配慮している印象を与えることができ、やさしさや誠実さが伝わります。
このように、同じ「言いにくい」状況であっても、選ぶ表現によって会話の印象はガラリと変わるのです。
似た表現の言い換え一覧(表形式)
- 言いづらい ⇔ 言いにくい
- 頼みづらい ⇔ 頼みにくい
- 動きづらい ⇔ 動きにくい
- 書きづらい ⇔ 書きにくい
- 話しかけづらい ⇔ 話しかけにくい
- 近寄りづらい ⇔ 近寄りにくい
上記のように、どちらを使うかは「その難しさの理由」によって選ぶのがポイントです。感情に関係していれば「〜づらい」、物理的な困難なら「〜にくい」を選ぶと自然な表現になります。
教育・辞書・文化庁ではどう扱われている?
学校教育での指導例
学校教育の現場では、「しづらい」という表現が正しいものとして教えられています。国語の授業では、文章の正確さが重視されるため、子どもたちは「しずらい」と書くと先生から赤ペンで「しづらい」に直されることが一般的です。
また、作文コンクールや学力テスト、模擬試験などの採点基準でも、「しずらい」は誤字として減点対象となる場合があります。言葉の使い方がその人の語彙力や表現力を測る材料となるため、学校教育ではこうした細かい表現の違いに対する指導が重視されています。
さらに、教師向けの国語教材や教科書編集マニュアルなどでも、「〜づらい」を正しい表記として掲載しており、全国的な共通認識となっています。
国語辞典の説明をチェック
『広辞苑』や『明鏡国語辞典』、『新明解国語辞典』など、日本を代表する多くの辞書では、「〜づらい」が正式な複合語として扱われています。「づらい」は動詞に付く接尾語で、「心理的にしにくい」という意味を持つと明記されています。
一方で、「〜ずらい」という表記はどの辞書にも載っておらず、見当たりません。これは、日本語の語源的・文法的な観点からも、「ずらい」は存在しない言葉であるという位置づけがなされているからです。
さらに、国語辞典の巻末や用例解説においても、「づ」と「ず」の混同による誤用例として「しずらい」が挙げられることがあり、言葉に敏感な学習者やライターにとっては注意すべきポイントとなっています。
文化庁の見解や資料からわかること
文化庁が公表している「言葉に関する調査」では、実際に「しずらい」という表現を使用している人が一定数存在していることが報告されています。これは話し言葉において「ず」と「づ」の発音の区別があいまいになっている現状を反映したものであり、言語の“生きた変化”とも言える現象です。
しかし一方で、文化庁は「公的な文書や教育現場では正しい表記が求められる」と明確に述べており、「しづらい」が推奨されるべき表現であるとしています。特に国語教育や文章作成の場においては、誤用が習慣化しないよう注意喚起が行われていることも特徴です。
また、文化庁の関連資料には「“話し言葉としては通じるが、書き言葉としては誤用”とされる表現」の代表例として「しずらい」が挙げられており、正しい知識と運用が今後ますます求められるといえるでしょう。
よくある使用シーンと選び方
頻出シチュエーション5選(+α)
「しづらい」または「しずらい」が使われる具体的な場面は、私たちの身近な生活の中にたくさんあります。以下に代表的な5つのシーンを挙げつつ、少し掘り下げてご紹介します。
- ビジネスメール:丁寧で配慮ある印象を与える必要があるため、「しづらい」が基本。たとえば「申し上げづらいのですが…」のように活用されます。
- プレゼン資料:簡潔で明確な言葉が求められる中でも、「しづらい」と表現することで、配慮のあるニュアンスを伝えることができます。
- 学校のレポートや作文:国語教育の観点からも「しづらい」が正しい表記として指導されるため、書面では必ず「しづらい」にしましょう。
- SNSやブログ:カジュアルな文体が多く、「しずらい」が使われることも。ただし、信頼性を重視する場合や情報発信を目的とするなら「しづらい」にするほうが好印象です。
- 会話(家族や友人):口語では「しずらい」の方が柔らかく響くため、違和感なく使用されがちです。
- 電話や面接での応対:話し言葉でありながらも丁寧さが求められる場面では「しづらい」を意識すると好印象につながります。
どう選べばいいの?判断のポイント
表現を選ぶときのポイントは、「相手が誰か」「場面の形式性」「文章か会話か」です。
- フォーマルな場面(書面・公的):迷わず「しづらい」
- インフォーマルな会話(親しい間柄・SNS):「しずらい」も自然だが、文章にするなら「しづらい」に修正がおすすめ
また、相手が目上の方や取引先であれば、「しづらい」を選ぶだけで印象がぐっと良くなることもあります。逆に、あえてくだけた印象を出したいSNS投稿などでは、あえて「しずらい」を使うことで親近感を出す工夫も考えられます。
どちらを使うか迷ったら、「文書化するなら“しづらい”」を基本ルールにすると安心です。
実例つき解説:こんなときどう書く?
以下は、実際によく見かける例を比較したものです。
- 「本当のことを言いづらい」←◎(心理的なためらいを表す丁寧な表現)
- 「意見が言いずらい」←×(「しずらい」は誤表記)
- 「お願いしずらいと感じていました」←× →「お願いしづらいと感じていました」←◎
- 「LINEで断るの、ちょっと言いずらいなぁ」←△(会話なら自然/文章では「言いづらい」が正)
このように、「しづらい」は正しいだけでなく、相手への配慮や丁寧さも表せる便利な表現。場面に応じて柔軟に使い分けましょう。
よくある質問(Q&A)
Q:「しずらい」は間違いなの?
A:はい、「しずらい」は話し言葉では自然に使われているものの、文法的には誤用とされています。「しずらい」は「ず」と「づ」の発音が似ていることから広まった言い方であり、特に若い世代を中心に口語ではよく耳にします。ただし、正式な書き言葉としては「しづらい」が正解です。学校の作文やビジネス文書、ブログなどに書く場合は「しづらい」を使うことで、より丁寧で正確な印象を与えることができます。
Q:辞書に載っていないのはなぜ?
A:「しずらい」が辞書に載っていない理由は、日本語としての正規の語形成に基づいていないためです。「しづらい」は「する+づらい」という構造で成り立つ表現で、「心理的にしにくい状態」を表すとされており、多くの辞書に掲載されています。一方で「しずらい」という表記は語源的な裏付けがなく、俗用・口語としての使用にとどまっているため、公式な語として扱われていないのです。つまり、辞書には「広く認知され、文法的にも整っている語」が掲載されるため、「しずらい」はその基準を満たしていないということになります。
Q:「しにくい」との違いがイマイチわかりません…
A:「しにくい」と「しづらい」は似た意味ですが、ニュアンスに違いがあります。「しにくい」は主に物理的・技術的な困難さを表すときに使われます。たとえば「滑って歩きにくい」「読みにくい字」など、客観的に「行動がしにくい」場面に使われます。
一方で「しづらい」は、感情や人間関係など、心理的な遠慮やためらいがある場合に使われます。たとえば「上司に相談しづらい」「本音が言いづらい」などです。言い換えれば、「しにくい」は行動の難しさ、「しづらい」は心の壁と覚えると区別しやすくなります。
まとめ|正しい日本語をやさしく身につけよう

正しい言葉づかいは信頼感につながる
言葉は、その人の印象を大きく左右します。とくに書き言葉では、丁寧な表現や正しい表記を選ぶことが、読み手に対する信頼や誠意を伝える大切なポイントになります。
たとえば、「しづらい」という表記ひとつとっても、それを正しく使えるだけで、「この人はしっかりとした言葉づかいができる人だな」と思ってもらえる可能性があります。小さな違いのようでいて、大きな印象の差を生むこともあるのです。
知っていると安心!自信をもって文章を書こう
表現の選び方に迷うことは誰にでもあります。でも、「しずらい」と「しづらい」のように、あらかじめ違いを知っておくだけで、迷わずに言葉を選べるようになり、自信を持って文章が書けるようになります。
メールや資料の作成、SNSでの発信など、日常的に文章を書く機会が多い現代において、こうした言葉の基礎知識はまさに“武器”になります。正しく、やさしい言葉を使えることは、相手に安心感や信頼感を届ける第一歩です。
ことばは生きている。でも「基礎知識」はやっぱり大切
日本語は生きた言葉です。時代や世代によって言い回しが変わっていくのは自然なことですし、「しずらい」が広く使われている現状も否定するものではありません。
しかしだからこそ、変化のある言葉の世界でぶれないためには、基本となる「正しい表記」や「正しい使い方」を知っておくことがとても重要です。その上で、場面や相手に応じてあえてくだけた表現を使う、そんな“選べる力”を持てるのが理想的です。
迷ったときに立ち返れる基礎を身につけておけば、あなたの言葉はきっと、もっとやさしく、もっと伝わるものになりますよ。

