「あれ?『ご存知ない』って正しい敬語なの?それとも『ご存じない』と書くべき?」
ビジネスメールや案内文を書いていると、こんな疑問を持つことがありますよね。
「ご存知」「ご存じ」「ご存知ない」「ご存じない」……。意味は分かるものの、いざ文章にしようとすると、どの表記を選べばいいのか迷ってしまう言葉です。
結論からいうと、一般的な文章で表記に迷った場合は、「ご存じ」「ご存じない」と書いておくと使いやすいでしょう。
ただし、「ご存知」と書いたからといって、意味が通じなかったり、敬語そのものが成立しなかったりするわけではありません。また、公用文では「御存じ」という表記が使われるなど、媒体によって表記ルールが異なる点にも注意が必要です。
この記事では、「ご存知ない」と「ご存じない」の違いから、ビジネスでの使い方、言い換え、例文まで分かりやすく紹介します。
結論|「ご存知ない」と「ご存じない」はどっちが正しい?

文章を書くときに迷ったら、「ご存じない」がおすすめです。
「ごぞんじ」は、「知っていらっしゃること」という意味で使われる尊敬表現です。
その否定形が、次のような表現です。
- ご存じない
- ご存じではない
- ご存じありません
迷ったら「ご存じない」と書けば安心
一般的なメール、ブログ、案内文などでは、
「このサービスをご存じない方へ」
「まだご存じない場合は、こちらをご確認ください」
のように「ご存じない」と書けば自然です。
特に、「ご存知」と「ご存じ」のどちらに統一するか迷っている文章では、「ご存じ」を選んでおけば表記上の疑問を持たれにくくなります。
「ご存知ない」は絶対に間違いなの?
「ご存知ない」を見かけたからといって、すぐに「日本語として完全な間違い」と断定する必要はありません。
「ご存知」という表記自体は実際に広く使われています。一方、辞書などでは「御存じ」「ご存じ」という表記が採用されることが多いため、文章として表記を整えたい場合には「ご存じない」を選ぶと考えると分かりやすいでしょう。
つまり、次のように整理できます。
- 「ご存知ない」=意味は十分伝わる
- 「ご存じない」=表記を整えたい文章で使いやすい
「ご存知ない」の意味と読み方
「ご存知ない」は「ごぞんじない」と読みます。
意味は簡単にいえば、相手や第三者が「知らない」という状態を丁寧に表したものです。
「ご存知ない」は「知らない」の尊敬表現
「ご存じ」は、相手や第三者の「知っている」という状態を高めて表す言葉です。
たとえば、
「部長はこの件を知っていますか?」
を丁寧にすると、
「部長はこの件をご存じですか?」
となります。
否定する場合は、
「部長はこの件をご存じないようです」
のように使えます。
「ご存知ない」は誰に対して使う言葉?
基本的には、相手や第三者について使う言葉です。
- ○ 部長はその件をご存じないようです。
- ○ お客様の中にはご存じない方もいらっしゃいます。
一方、自分について、
× 私はその件をご存じないです。
とは通常言いません。
自分が知らないことを丁寧に表すなら、
- その件については存じません。
- その方については存じ上げません。
などを使います。
「ご存知」と「ご存じ」の違いとは?
「ご存知」と「ご存じ」は、文章上の表記が違うだけで、使われている場面では基本的に「知っている」という同じ内容を表しています。
ただし、文章としてどの表記を採用するかには違いがあります。
「ご存知」と「ご存じ」は意味自体は同じ
たとえば、
「この商品をご存知ですか?」
「この商品をご存じですか?」
は、どちらも相手がその商品を知っているかを尋ねています。
声に出してしまえば、どちらも「ごぞんじ」なので違いはありません。
問題になるのは、あくまで書き言葉としてどう表記するかです。
なぜ「ご存知」と「ご存じ」で表記が揺れるの?
「ご存知」は、「知っている」という意味が文字から分かりやすいため、現在でもさまざまな文章で使われています。
一方、辞書では「御存じ」という表記が見出しとして採用されることがあります。
そのため、一般的な文章で表記を統一するなら「ご存じ」としておくと迷いにくいでしょう。
「ご存じ」「御存じ」「ご存知」「御存知」の違い
| 表記 | 使い方の目安 |
|---|---|
| ご存じ | 一般的な文章で使いやすい |
| 御存じ | 公用文などで見られる |
| ご存知 | 日常的な文章やWeb上でもよく見られる |
| 御存知 | 現在の一般的な文章ではあえて選ぶ必要は少ない |
大切なのは、1つの文章の中で「ご存じ」と「ご存知」を何度も混在させないことです。
ビジネスや公的な文章ではどの表記を選ぶ?
一般的なビジネスメールなら「ご存じ」で統一すると使いやすいでしょう。
ただし、行政の公用文と一般企業のビジネス文書は同じ表記ルールとは限りません。
そのため、
- 一般的なメール・ブログ → 「ご存じ」
- 官公庁など独自の表記規則がある文書 → そのルールに従う
と考えるのが分かりやすいでしょう。
「ご存知ない」と「ご存知でない」はどっちが正しい?

「ご存じない」と「ご存じでない」は、どちらも実際に使われる表現です。
ただし、現在の日常的な文章では「ご存じない」のほうが簡潔で自然に感じられる場面が多いでしょう。
「ご存知ない」の使い方
「ご存じない」は、相手や第三者が知らないことを簡潔に表せます。
例:
- まだこの制度をご存じない方も多いようです。
- 詳しい内容をご存じない場合は、こちらをご覧ください。
文章も短く、会話やメールでも使いやすい表現です。
「ご存知でない」の使い方
「ご存じでない」も、「ご存じ」+「でない」という形で使われます。
例:
「担当者が事情をご存じでない場合は、改めてご説明いたします。」
ただし、少し硬く感じることもあります。
さらに丁寧にするなら、
- ご存じではない
- ご存じではありません
という形も使えます。
ビジネスメールではどちらが自然?
通常のビジネスメールなら、
- ご存じない場合は
- ご存じないかもしれませんが
のような表現が使いやすいでしょう。
より改まった雰囲気にしたい場合は、
- ご存じではない場合
- ご存じではないかと存じますが
などに調整できます。
「ご存知ない」と「存じ上げない」の違い
この2つは似ていますが、誰が知らないのかが違います。
ここを覚えておくと、敬語の間違いをかなり減らせます。
「ご存知ない」は相手が知らないとき
「ご存じない」は、相手や第三者について使います。
「部長はこの件をご存じないようです。」
この文では、「知らない」のは部長です。
「存じ上げない」は自分が知らないとき
「存じ上げません」は、自分が相手や人物を知らないことをへりくだって表します。
「申し訳ありませんが、その方については存じ上げません。」
一般的には、
- 人物 → 存じ上げております
- 事柄・情報 → 存じております
と使い分けると自然です。
「ご存知」と「ご承知」の違い
「ご存じ」と「ご承知」は、どちらも「知っている」に近い言葉ですが、ニュアンスが異なります。
「ご存じ」は知っていること
「ご存じ」は、事実や人物、情報などを知っていることを表します。
「新しい制度をご存じですか?」
この場合は、制度の存在や内容を知っているかを尋ねています。
「ご承知」は理解・了承の意味を含む場合がある
「承知」には、事情を知っているだけでなく、内容を理解したり受け入れたりするニュアンスが加わる場合があります。
「注意事項をご承知のうえ、お申し込みください。」
この場合は、単に「知っていますか?」ではなく、「内容を理解したうえで」という意味合いになります。
そのため、「ご存じ」と「ご承知」はいつでも入れ替えられるわけではありません。
「ご存知ない」の正しい使い方と例文

ここからは、実際にそのまま応用しやすい例文を紹介します。
「ご存知ない方」の例文
- このサービスをご存じない方のために、簡単にご説明します。
- まだ変更内容をご存じない方もいらっしゃるかと思います。
- ご存じない方はこちらをご確認ください。
多くの人へ説明するときに使いやすい表現です。
「ご存知ない場合」の例文
- 操作方法をご存じない場合は、スタッフまでお声掛けください。
- 詳細をご存じない場合でも、お申し込みいただけます。
- ご存じない場合は、下記の資料をご参照ください。
案内文や説明文との相性がよい表現です。
「ご存知ないかもしれませんが」の例文
「すでにご存じかもしれませんが、営業時間が変更になりました。」
逆に相手が知らない可能性を考える場合には、
「ご存じないかもしれませんが、来月から受付時間が変わります。」
と使えます。
ただし、相手に直接「あなたは知らないだろう」と決めつける印象を避けたい場合は、
- すでにお聞き及びかもしれませんが
- 念のためご案内いたします
などに言い換えるのもおすすめです。
ビジネスメールで使う例文
- 本件をご存じない場合は、下記をご確認いただけますと幸いです。
- すでにご存じかと存じますが、念のため改めてご案内申し上げます。
- まだご存じでない方もいらっしゃるため、社内で共有させていただきます。
相手が知っているか分からない場合は、「念のため」を加えると柔らかくなります。
接客・電話で使う例文
- こちらのキャンペーンはご存じでしょうか?
- 会員様向けのサービスについてはご存じですか?
- もしご存じでなければ、簡単にご案内いたします。
相手に直接確認するときは、「ご存じでしょうか?」が比較的柔らかい聞き方です。
「ご存知ないですか?」は失礼?丁寧な聞き方
「ご存知ないですか?」でも意味は通じますが、ビジネスでは少し言い方を変えると自然です。
「ご存知ないですか?」のニュアンス
「ご存じないですか?」は会話では使われますが、
「知らないのですか?」
という否定から尋ねる形なので、場合によっては「知らないことを前提にされている」と感じさせることがあります。
「ご存じありませんか?」との違い
より丁寧に尋ねるなら、
「○○についてご存じありませんか?」
と表現できます。
たとえば、
「この近くに郵便局があるか、ご存じありませんか?」
のように使います。
「ご存じでしょうか?」との違い
ビジネスでは、
「こちらの制度についてご存じでしょうか?」
も使いやすい表現です。
「知っていますか?」と直接尋ねるより柔らかく、相手が知っていても知らなくても答えやすい聞き方になります。
「ご存知ない」の言い換え表現
文章の中で「ご存じない」が何度も続くと、少しくどく感じることがあります。
そんなときは、意味に応じて言い換えてみましょう。
ビジネスで使える言い換え
- お聞き及びでない
- ご確認いただいていない
- まだお伝えできていない
- ご案内が届いていない
- お耳に入っていない
ただし、すべてが「ご存じない」と完全に同じ意味ではありません。
情報をどのように知るのかによって使い分ける必要があります。
やわらかく伝えたいときの言い換え
「ご存じないようでしたら」
よりも、
- まだご案内が届いていないようでしたら
- 念のためご説明いたします
- すでにご確認済みでしたら恐縮ですが
などとすると、相手が「知らない」と決めつける印象を弱められます。
「ご存知/ご存じ」で間違えやすい表現

敬語では、「誰が知っているのか」を意識することが大切です。
「私はご存じです」は使わない
「ご存じ」は相手や第三者を高める表現なので、自分自身には使いません。
× 私もその件をご存じです。
○ 私もその件は存じております。
この違いは覚えておきましょう。
「ご存知ですよね?」は言い方に注意
「ご存じですよね?」は文法上不自然というわけではありません。
ただし、相手に「当然知っていますよね?」と確認するニュアンスが出やすいため、ビジネスでは少し強く聞こえる場合があります。
柔らかくするなら、
- すでにご存じかと存じますが
- ご存じでしたら恐縮ですが
などがおすすめです。
「ごぞんじ」と全部ひらがなでもいい?
意味は伝わりますが、「ごぞんじ」はひらがなが続くため、文章によっては少し読みづらく感じることがあります。
一般的な文章では「ご存じ」とすると読みやすいでしょう。
シーン別|「ご存知」「ご存じ」の使い分け
使う場面によって、表記や言い回しを調整すると自然です。
日常会話
話し言葉では表記そのものが存在しないので、「ご存知」と「ご存じ」の違いを気にする必要はありません。
「このお店、ご存じですか?」
と自然に使えます。
ビジネスメール
文章として残るビジネスメールでは、「ご存じ」に統一しておくと使いやすいでしょう。
「本件についてはすでにご存じかと存じますが、念のためご連絡いたします。」
などの形が自然です。
接客・電話
接客や電話では、
- こちらの商品はご存じでしょうか?
- 新しいサービスについてはご存じですか?
などが使えます。
社内文書・資料
社内で表記ルールが決まっている場合は、会社のルールを優先します。
決まりがない場合は、記事内や資料内で表記を統一しましょう。
公的な文章
公用文では一般のブログや企業メールとは異なる表記規則が採用されることがあります。
そのため、「公的文書なら必ず『ご存じ』」と単純に決めるのではなく、所属する組織の用字用語ルールを確認することが大切です。
「ご存知」「ご存じ」で迷ったときの判断フローチャート
① 自分が知らないことを言いたい?
YES
→「存じません」「存じ上げません」
NO
↓
② 相手や第三者が知っているかを表したい?
YES
→「ご存じ」を使う
↓
③ 知らないことを表したい?
YES
→「ご存じない」
↓
④ ビジネスで相手に直接質問する?
YES
→「ご存じでしょうか?」など柔らかい表現にする
↓
⑤ 公用文や社内ルールがある?
YES
→指定された用字用語ルールに従う
この考え方なら、多くの場面で迷いにくくなります。
「ご存知」の英語表現

日本語の「ご存じですか?」に完全に一致する敬語表現が英語にあるわけではありません。
場面によって表現を使い分けます。
Do you know ~?
もっとも一般的な表現です。
Do you know this company?
「この会社を知っていますか?」
Are you aware of ~?
情報や状況を認識しているか確認するときに使えます。
Are you aware of the new policy?
「新しい方針をご存じですか?」
Are you familiar with ~?
「~についてよく知っていますか」「~になじみがありますか」というニュアンスです。
Are you familiar with this system?
「このシステムをご存じですか?」
日本語をそのまま直訳するのではなく、相手に何を確認したいのかによって使い分けると自然です。
よくある質問
迷いやすいポイントをQ&A形式で確認しておきましょう。
「ご存知ない」は失礼ですか?
「ご存知ない」という言葉自体が失礼というわけではありません。
ただし、相手に直接「ご存じないですよね」と言うと、「知らないと決めつけられた」と感じさせる場合があります。
「ご存じでしょうか?」
「すでにお聞き及びかもしれませんが」
などにすると柔らかい印象になります。
「ご存知ない方」は正しい表現ですか?
「ご存じない方」は自然に使われる表現です。
- この制度をご存じない方へ
- まだ変更内容をご存じない方もいらっしゃいます
などの形で使えます。
「ご存知ない」と「ご存知でない」はどちらが自然ですか?
一般的な文章では「ご存じない」のほうが簡潔で使いやすいでしょう。
より改まった表現にしたい場合は、
- ご存じではない
- ご存じではありません
なども使えます。
「ご存じありませんか?」の方が丁寧ですか?
「ご存じないですか?」よりも、丁寧で落ち着いた印象になります。
ただし、相手に何かを確認するだけなら、
「ご存じでしょうか?」
も柔らかく使いやすい表現です。
「ご存じ」と「存じます」は何が違いますか?
簡単に分けると、
- ご存じ → 相手・第三者が知っている
- 存じます → 自分が知っている・思う
という違いがあります。
たとえば、
「部長はこの件をご存じです。」
「私はこの件を存じております。」
となります。
まとめ|迷ったら「ご存じない」を選ぶと使いやすい
「ご存知ない」と「ご存じない」で迷った場合、一般的な文章では「ご存じない」にしておくと使いやすいでしょう。
ポイントをまとめると、
- 「ご存じ」は相手や第三者の「知っている」を表す
- 否定するなら「ご存じない」が使える
- 「ご存知」も広く使われているため、単純に意味の通じない誤りとは言い切れない
- 自分が知らない場合は「存じません」「存じ上げません」
- 相手に尋ねるなら「ご存じでしょうか?」にすると柔らかい
- 公用文では「御存じ」など独自の表記ルールが用いられることがある
という点を覚えておけば安心です。
敬語は、「この表現しか絶対に正しくない」と覚えるよりも、誰について話しているのか、どんな文章で使うのかを考えることが大切です。
ビジネスメールや案内文で迷ったときは、「ご存じ」「ご存じない」を基本にしながら、相手や場面に合わせて使い分けてみてくださいね。

